TOEICスコア別・転職市場価値マップ|600, 700, 800, 900点の壁と年収への影響を完全解説

目次

この記事のポイント

  • 600点の壁:英語の基礎力を示し、履歴書に書ける最低ライン。多くの国内企業で評価のスタート地点となる。
  • 700点の壁:ビジネス英語の素養ありと見なされ、求人の選択肢が大幅に拡大。大手企業や海外部門への挑戦権を得る。
  • 800点の壁:「英語が堪能」と評価され、外資系企業や海外駐在など、高度な英語力が求められるポジションで強力な武器になる。
  • 900点の壁:ネイティブレベルに近い運用能力の証明。専門職や管理職において、他の候補者と圧倒的な差別化が可能。
  • 企業評価の実態:求めるスコアは業界や職種で大きく異なる。商社や外資系は高く、国内メーカーやITでは幅がある。
  • スコア+αが鍵:転職成功には、TOEICスコアに加えて専門スキルや実務経験との掛け合わせが最も重要。

TOEICスコアは、転職市場において客観的な英語力の指標です。600点は基礎力の証明、700点はビジネスで英語を使う職務への挑戦権、800点はグローバル人材としての明確な武器、そして900点は英語のプロフェッショナルとして希少価値の高い人材と評価されます

なぜ今、転職市場でTOEICスコアがこれほど重要視されるのか

  • 客観性と公平性による効率的な人材評価手法
  • ビジネス英語能力の確実な指標として機能
  • 学習意欲と自己管理能力の証明として評価

そもそも、なぜ多くの企業は採用活動においてTOEICスコアを参考にするのでしょうか。その理由は大きく分けて3つあります。

客観性と公平性:面接での短い英会話だけでは、応募者の本当の英語力を測ることは困難です。TOEICは世界共通の基準で英語力を数値化するため、企業は客観的かつ公平に候補者を比較検討できます。特に応募者が多い人気企業では、書類選考の段階で一定のスコアを「足切り」ラインとして設定する効率的なスクリーニング手法として活用されています。

ビジネス英語能力の指標:TOEIC L&Rテストは、オフィスや日常生活におけるコミュニケーションを題材にしています。そのため、ハイスコアを保持している人材は、海外の取引先とのメール対応、英語の資料読解、電話会議への参加など、入社後すぐにビジネスシーンで英語を活用できるポテンシャルがあると判断されやすいのです。

学習意欲と自己管理能力の証明:高いTOEICスコアは、単なる英語力だけでなく、目標達成に向けて継続的に努力できる「学習意欲」や「自己管理能力」の高さを示す指標としても評価されます。特に現職で英語を全く使わないにもかかわらずハイスコアを持つ人材は、「将来のグローバル展開を見据えて自律的に学習できるポテンシャル人材」として、採用担当者に好印象を与えます。

国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の「英語活用実態調査2019」によると、実に52.5%の企業が採用時にTOEIC L&Rスコアを参考にしていると回答しています。この数字は年々増加傾向にあり、今後もTOEICスコアの重要性は増していくと予想されます。転職というキャリアの岐路において、TOEICスコアは無視できない重要な要素となっているのです。

TOEIC 600点・700点・800点・900点の壁を完全攻略

  • 各スコア帯の英語レベルと実務能力を詳細解析
  • 転職市場での評価と具体的な求人事例を紹介
  • スコア突破のための効果的な学習戦略を提供

TOEIC 600点の壁:レベル感と転職市場でのリアルな評価

TOEIC学習者が最初に目指すことが多い「600点」。このスコアが持つ意味と、転職市場での立ち位置を詳しく見ていきましょう。

英語レベルの目安とできること
TOEIC 600点は、欧州共通言語参照枠(CEFR)でいうとB1レベルに相当します。これは「基本的な内容を理解し、限定された範囲でコミュニケーションが取れる」レベルです。

できること:ゆっくり話してもらえれば、日常会話の要点を理解できる。簡単な定型文でのメールのやり取りができる。身近なトピックについて、簡単な文章で自分の意見を述べられる。海外旅行で、道を尋ねたり、買い物をしたりといった基本的なコミュニケーションが取れる。

難しいこと:ネイティブスピーカーの速い会話や、専門的な内容の会議を理解すること。複雑なニュアンスを含むビジネス交渉やプレゼンテーション。長文の英文契約書や技術文書を正確に読解すること。

IIBCのデータによると、2023年度のTOEIC公開テストの平均スコアは608点でした。つまり、600点台は日本のビジネスパーソンの平均的な英語力を持っていることの証明と言えます。

転職市場での評価と求人例

転職市場において、TOEIC 600点は「履歴書に書いて、英語への意欲をアピールできる最低ライン」と認識されています。このスコアがあることで、「全く英語ができない」という評価を避け、英語学習への前向きな姿勢を示すことができます。

  • 国内メーカーの海外営業(アシスタント職):「TOEIC 600点以上歓迎。海外拠点との定型的なメール連絡が主業務」
  • IT企業のヘルプデスク:「海外製品のマニュアル読解があるため、TOEIC 600点程度の読解力がある方」
  • ホテルのフロントスタッフ:「外国人観光客への簡単な案内業務があるため、TOEIC 600点以上が望ましい」

TOEIC 700点の壁:ビジネス英語への挑戦権とキャリアの広がり

  • CEFRでB2レベル、自分の専門分野でのコミュニケーションが可能
  • 大手企業やグローバル部門への応募資格を獲得
  • 「英語を使って仕事ができる素地」として明確に評価

多くの企業が海外部門の応募条件として「TOEIC 730点以上」を掲げるなど、700点台はビジネス英語の世界への扉を開く重要なスコアです。

TOEIC 700点(特に730点以上)は、CEFRでB2レベルに相当し、「自分の専門分野で、ある程度の流暢さと自発性を持ってコミュニケーションが取れる」レベルとされています。会議やプレゼンテーションで自分の意見を論理的に述べることができ、海外の取引先と業務に関するメールや電話で円滑にやり取りができるようになります。

具体的な求人例

  • 大手総合商社の営業職:「海外との折衝を含むため、TOEIC 730点以上必須」
  • 外資系メーカーのマーケティング職:「本国とのレポートラインがあるため、TOEIC 750点以上の英語力が望ましい」
  • 国内製薬企業の海外薬事申請:「海外の薬事当局とのやり取りが発生するため、TOEIC 700点以上」
  • ITコンサルティングファーム:「グローバルプロジェクトへのアサイン可能性があるため、TOEIC 700点以上を推奨」

TOEIC 800点の壁:グローバル人材としての絶対的証明

TOEIC 800点(特に860点以上でAランク)は、多くのビジネスパーソンが目標とするハイスコアです。このレベルに達すると、転職市場での評価は格段に上がります

TOEIC 800点は、CEFRでB2の上位からC1に相当し、「広範な話題について、複雑な文章を理解し、流暢かつ自然に自己表現ができる」レベルです。専門的な会議や交渉の場で議論をリードしたり、英語のネイティブスピーカーと対等に渡り合えるコミュニケーション能力、契約書や学術論文など高度で専門的な英文を正確に理解し要約できる能力を持っています。

具体的な求人例

  • 外資系戦略コンサルティングファーム:「クライアントへの英語でのプレゼンテーションが必須のため、TOEIC 850点以上が目安」
  • 大手総合商社の海外M&A担当:「海外企業のデューデリジェンスや契約交渉を行うため、TOEIC 800点以上の高度な英語力と財務知識が必須」
  • グローバル企業の経営企画:「海外拠点の事業計画策定や本国経営陣へのレポーティングのため、TOEIC 800点以上」

TOEIC 900点の壁:英語を極めし者の市場価値とキャリアパス

  • 全受験者の上位3〜4%の超希少レベル
  • CEFRでC1レベル、ネイティブと遜色ないコミュニケーション能力
  • 英語そのものを専門とする職務を高レベルで遂行可能

TOEIC 900点以上は、全受験者のうちわずか上位3〜4%しか到達できない領域です。このスコアは、転職市場で絶大なインパクトを持ちます。

TOEIC 900点は、CEFRでC1レベルに相当し、「複雑な話題でも、含意を理解し、流暢かつ自然に自己表現ができる。ネイティブスピーカーと遜色ないレベル」と評価されます。あらゆるビジネスシーンにおいて英語で不自由することはなく、通訳や翻訳、英語でのライティング(広報、IR資料作成など)といった、英語そのものを専門とする職務を高いレベルで遂行できます。

具体的な求人例

  • グローバル企業のIR(インベスター・リレーションズ)担当:「海外投資家向けに英語で経営戦略を説明するため、TOEIC 900点以上必須」
  • 外資系投資銀行のバンカー:「英語でのディール交渉が日常業務。TOEIC 900点以上が望ましい」
  • 通訳・翻訳エージェントの社内通訳者:「役員会議での同時通訳などを担当。TOEIC 950点以上が応募基準」

業界・職種別!企業が本当に求めるTOEICスコアの現実

  • 業界によって求められるスコアが大きく異なる現実
  • 職種特性によるスコア要件の違いを明確化
  • 2025年最新の採用動向を反映したデータ

これまでスコア別の評価を見てきましたが、実際に求められるスコアは業界や職種によって大きく異なります。自身のキャリアプランと照らし合わせながら、現実的な目標を設定しましょう。

スクロールできます
業界求められるスコア帯備考
総合商社730点〜900点以上海外との取引が事業の根幹。特に資源・エネルギー部門などは極めて高い英語力が求められる。
外資系企業750点〜900点以上本国とのコミュニケーションが必須。特にコンサル、金融、IT、製薬などはハイスコアが前提。
メーカー(輸出比率高)650点〜850点海外営業、資材調達、技術開発(海外拠点連携)などの職種で730点以上が目安となることが多い。
IT・情報通信600点〜800点エンジニア職でも最新技術のドキュメント読解で英語力が必要。外資系やグローバルプロジェクトでは700点以上。
金融(国内)600点〜750点海外投資部門や外資系顧客担当などで英語力が求められる。メガバンクの総合職採用でも高スコアは有利。
ホテル・観光600点〜800点インバウンド需要の増加に伴い、英語力の重要性が高まっている。特に富裕層向け施設では高いレベルが要求される。
小売・流通500点〜700点海外製品の買い付けや、ECサイトの海外展開などで英語力が必要になるケースがある。

職種別に見ると、海外営業、経営企画、法務、IR、マーケティング(グローバル担当)などは高いスコアが求められる一方、経理や人事(国内担当)、エンジニア(国内プロジェクト)などは、スコア要件が比較的緩やかになる傾向があります。ただし、どの職種でもハイスコアはキャリアアップの可能性を広げるプラス要素として評価されます。

TOEICスコアと年収の相関関係|データで見るキャリアアップの可能性

「TOEICスコアを上げると、本当に年収は上がるのか?」これは多くの学習者が抱く疑問でしょう。結論から言うと、明確な相関関係があります

転職サービス「doda」が2023年に発表した調査によると、TOEICスコア別の平均年収には以下のような差が見られました。

TOEICスコア平均年収
500点未満450万円
500〜599点485万円
600〜699点520万円
700〜799点585万円
800〜899点650万円
900点以上730万円

このデータから、スコアが上がるにつれて年収も段階的に上昇していることが明確にわかります。特に、平均スコアである600点台から、ビジネスレベルと見なされる700点台、そして英語上級者である800点台へと上がるにつれて、年収の上昇幅が大きくなる傾向があります。

500点未満と900点以上では、平均年収に約280万円もの差が生まれています。これは、ハイスコア保持者が、より専門性が高く、待遇の良いポジション(外資系企業、商社、専門職など)に就く機会が多いことを示唆しています。

スコアだけでは不十分!TOEICを最大限に活かす転職活動の戦略的アピール術

  • 履歴書・職務経歴書での効果的なスコア活用法
  • 面接でのアピール戦略と実践力の示し方
  • スコアと実務経験を結びつける具体的手法

高いTOEICスコアは強力な武器ですが、それを転職成功に結びつけるには、戦略的なアピールが不可欠です。

履歴書・職務経歴書でのアピール術

スコアは必ず明記:取得年月日と共に「TOEIC Listening & Reading Test 850点 取得」のように正式名称で記載します。

実務経験と結びつける:職務経歴の欄で、「TOEIC 850点の英語力を活かし、米国本社との週次定例会議でプロジェクト進捗を報告」や「海外サプライヤーとの価格交渉を英語で担当し、年間5%のコスト削減に成功」など、スコアを裏付ける具体的なエピソードを盛り込みましょう。

面接でのアピール戦略

「なぜそのスコアを取ったのか」を語る:「将来的に海外事業に携わりたいと考え、2年間で600点から850点までスコアを伸ばしました」のように、スコア取得の背景にある目的意識や学習継続力をアピールします。

スコア以上の実践力を示す:面接官に英語での自己紹介や質疑応答を求められた際に、臆することなく堂々と話すことが重要です。流暢でなくとも、伝えようとする姿勢が評価されます。

スピーキング・ライティング能力も補足:「TOEIC L&Rだけでなく、オンライン英会話でスピーキング力を、ビジネスライティング講座で書く力も磨いています」と補足することで、総合的な英語力の高さを印象付けられます。

大切なのは、「TOEICスコア=ゴール」ではなく、「TOEICスコアを使って何ができるか、何をしてきたか」を具体的に示すことです。スコアと実務能力が結びついたとき、あなたの市場価値は最大化されます。

まとめ:あなたのキャリアプランに最適なTOEIC目標スコア設定法

本記事では、TOEICの各スコアが持つ意味と、それが転職市場でどのように評価されるかを多角的に解説してきました。

  • 600点は、キャリアの可能性を広げるためのスタートライン
  • 700点は、グローバルな仕事への挑戦権
  • 800点は、ライバルと差をつけるための強力な武器
  • 900点は、あなた自身の価値を定義するブランド

重要なのは、やみくもに満点を目指すのではなく、あなた自身のキャリアプランや目標とする業界・職種に合わせて、現実的かつ戦略的な目標スコアを設定することです。

まずは、あなたが転職で実現したいことは何かを明確にしましょう。「将来は海外で働きたい」のであれば、800点以上を目指す必要があります。「国内大手のメーカーで、海外と関わる部署に行きたい」のであれば、まずは730点が具体的な目標になるでしょう。「今は英語を使わないが、将来に備えておきたい」という方は、平均点を超える600点台を最初のステップにするのが現実的です。

TOEICスコアは、あなたの努力を客観的に証明し、キャリアの扉を開けてくれる信頼できるパートナーです。しかし、それはあくまで数あるスキルの一つに過ぎません。最終的にあなたの価値を決めるのは、専門性や実務経験、そして人間性です。

TOEICというツールを賢く活用し、あなたの専門性と掛け合わせることで、理想のキャリアを実現してください。この記事が、そのための一助となれば幸いです。

参考URL一覧

1 2
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

派遣会社社員として20年の経験を持ち、数多くの転職・キャリア支援を担当。派遣エージェントとして全国の拠点を回り、地域ごとの特色や企業のニーズを熟知。求職者一人ひとりに寄り添い、最適なキャリアの選択をサポートする転職スペシャリスト。

目次