教育訓練給付制度のすべて｜受講料最大70%還元！申請から賢い使い方まで徹底解説【2025年最新版】

2025年8月20日2025年8月25日

この記事のポイント

最大70%（年間上限56万円）の受講料が戻る国の支援制度
在職中でも離職中でも利用可能な柔軟な制度設計
一定の雇用保険加入期間が必須条件
専門性の高い資格や大学院、語学講座が幅広く対象
支給を受けるには事前の手続きが重要

教育訓練給付制度は「キャリア投資」の最強ツール

国が認めた講座への自己投資を最大70%まで支援
金銭的ハードルを大幅に下げる画期的な制度
社労士、一級建築士など難関資格から英語まで対象講座が豊富
在職中の利用でキャリアアップとリスクヘッジを同時実現

現代社会において、働き方の多様化や技術革新のスピードは目覚ましく、一度身につけたスキルや知識だけで一生安泰という時代は終わりを告げました。自分の市場価値を高め、変化に対応し続けるためには、絶え間ない学びとスキルアップが不可欠です。しかし、そのための教育費用は決して安くありません。資格学校の受講料、大学院の学費、専門講座の費用など、自己投資をしたいと思っても金銭的なハードルに直面する人は少なくないでしょう。

そこで注目されるのが、この「教育訓練給付制度」です。この制度は、単なる公的な支援金ではなく、あなたの未来への投資を強力に後押ししてくれる最強のツールです。国が「これからの社会で必要とされるスキル・知識」と認めた講座に自己投資をすれば、その費用を一部負担してくれる。これほど心強い後押しはないでしょう。

例えば、これまで憧れていた難関資格「社会保険労務士（社労士）」や「一級建築士」に挑戦したくても、その高額な受講料に二の足を踏んでいた人もいるかもしれません。また、将来のキャリアチェンジを見据えて、大学院で専門性を高めたいと考えていたけれど、学費の高さから諦めていた人もいるでしょう。教育訓練給付制度は、そのような金銭的な壁を取り除き、あなたの「学びたい」という意欲を具体的にサポートしてくれます。

この制度の最大の魅力は、その対象講座の幅広さです。専門性の高いものから、実用的なスキル、そして一部の趣味・教養的なものまで、多岐にわたります。例えば、近年需要が高まっているWebデザインやプログラミング、さらに健康や美容分野で人気の「ピラティス」インストラクター養成講座なども対象に含まれる場合があります。また、グローバルな活躍を目指す人にとって不可欠な「英語」能力の向上を目的とした講座も、多くのものがこの制度の対象です。

このブログ記事では、教育訓練給付制度をまだ利用したことがない初心者の方でも、制度の全体像を正確に理解し、賢く使い倒すための具体的な方法を徹底的に解説します。単なる制度の説明に留まらず、利用者が直面するであろう疑問や問題点にも先回りして答えることで、あなたのキャリアアップを確実なものにするためのロードマップを提示します。

教育訓練給付制度とは？制度の3つの種類と基本を押さえる

一般教育訓練給付金：受講費用の20%（上限10万円）
特定一般教育訓練給付金：受講費用の40%（上限20万円）
専門実践教育訓練給付金：受講費用の50～70%（年間上限56万円）
それぞれ対象講座や受給要件が異なる

教育訓練給付制度は、厚生労働省が所管する公的な支援制度であり、その支援内容や目的によって、以下の3つの種類に分けられます。それぞれ給付率や対象講座、受給要件が異なるため、自分のキャリアプランに合った制度を選ぶことが重要です。

1. 一般教育訓練給付金：最も利用しやすい基本制度

最も一般的なタイプの給付金で、比較的短期間で取得できる資格や、ビジネススキルを身につけるための講座が中心となっています。初めて教育訓練給付制度を利用する場合、雇用保険の加入期間が1年以上あれば申請できるため、多くの人が利用しやすい制度と言えます。

スクロールできます

項目	内容
給付率	受講費用の20%
支給上限額	10万円
対象講座例	簿記検定、医療事務、ITパスポート、宅建士、TOEIC対策講座など
メリット	利用のハードルが比較的低い、対象講座が豊富

2. 特定一般教育訓練給付金：IT分野を中心とした専門講座

IT分野など、より専門的で中長期的なキャリア形成に資する講座が対象です。2019年4月に新設された制度で、デジタル化やAI化が進む社会に対応するためのスキル習得を目的としています。修了後1年以内に就職・転職で給与増などの目標を達成した場合、さらに20%の追加給付があります。

給付率：受講費用の40%（追加給付込みで最大60%）
支給上限額：20万円（追加給付分含めて40万円）
対象講座：IT技術者育成、データサイエンス、高度マーケティング講座
特徴：より高い給付率で専門的なスキルを習得可能

3. 専門実践教育訓練給付金：最高給付率の専門資格制度

最も給付率が高く、専門性の高い長期的なキャリア形成を目的とした講座が対象です。看護師や准看護師、美容師などの専門学校、また、大学院での学位取得課程などがこれに該当します。訓練を修了し、かつ被保険者として雇用された場合、受講費用の20%を追加給付され、合計70%の給付を受けることができます。

専門実践教育訓練給付金なら3年間で最大168万円の給付も可能

基本給付率：受講費用の50%
追加給付：修了後就職で20%追加（合計70%）
支給上限額：年間40万円（追加給付込みで年間56万円、最大3年間）
対象講座：看護師、美容師、理学療法士、一級建築士、大学院MBA等

誰が使える？支給対象者と雇用保険加入期間の条件

雇用保険の被保険者（または元被保険者）が対象
在職中：初回利用は1年以上、2回目以降は3年以上の加入期間
離職中：離職から1年以内かつ2年以上の加入期間
年齢制限は原則なし（65歳以上は一定条件あり）

教育訓練給付制度は、誰でも無条件に利用できるわけではありません。この制度は、雇用保険の被保険者（または被保険者であった人）を対象としています。具体的には、以下の条件を満たす必要があります。

在職中の条件：初めて利用する場合の雇用保険要件

受講開始日時点で、雇用保険の被保険者として雇用された期間が通算1年以上あることが必要です。雇用保険の被保険者とは、会社に雇用されていて、雇用保険に加入している人を指します。正社員だけでなく、パートやアルバイトでも雇用保険に加入していれば対象となります。

在職中の条件：2回目以降の利用における加入期間要件

前回の教育訓練給付金の受給から、雇用保険の被保険者として雇用された期間が通算3年以上あることが原則です。ただし、一般教育訓練給付金については、当分の間、2回目以降の利用の場合も、雇用保険加入期間が通算1年以上あれば利用できる特例措置が適用されています。詳細はハローワークで確認が必要です。

離職中の条件：退職後の時間制限と加入期間

受講開始日時点で、雇用保険の被保険者でなくなった日から1年以内であり、かつ、雇用保険の被保険者として雇用された期間が通算2年以上あることが必要です。離職後1年を過ぎると、原則として対象外となります。このため、離職を機に学び直しを考えている人は、早めにハローワークに相談することが重要です。

年齢制限はある？高年齢者の利用条件

教育訓練給付制度には、原則として年齢制限はありません。ただし、65歳以上の場合は、受講開始日時点で「一般被保険者」または「高年齢継続被保険者」である必要があります。雇用保険の被保険者として、引き続き雇用されている場合は対象となります。

あなたの学びたい講座は対象？対象講座の探し方と具体例

厚生労働省の「教育訓練給付制度検索システム」で確認
一級建築士、社労士など難関資格も対象講座多数
英語、TOEIC対策からピラティスまで幅広い分野
大学院のMBAや専門職大学院も対象

「教育訓練給付制度を使って学びたいけど、自分の学びたい講座は対象になっているの？」この疑問は、多くの人が最初に抱くものです。この制度の対象となる講座は、厚生労働大臣が指定したものに限られます。

対象講座を検索する方法：公式システムの活用法

最も確実な方法は、厚生労働省の「教育訓練給付制度検索システム」を利用することです。このシステムでは、キーワードや分野、都道府県、実施機関名などから、対象講座を検索できます。例えば、「一級建築士」と入力すれば、その資格取得を目指せる指定講座の一覧が表示されます。「TAC」と入力すれば、TACが実施している対象講座が確認できます。

検索システムURL：https://www.kyufu-kensaku.mhlw.go.jp/

人気の対象講座：資格・スキル編

数ある対象講座の中でも、特に人気が高く、多くの人が利用している講座をいくつかご紹介します。これらの講座は、キャリアアップや転職、独立開業に直結する実用性の高いものばかりです。

一級建築士、社会保険労務士（社労士）：難関資格への挑戦

これらの資格は、専門性が非常に高く、取得すればキャリアアップや独立開業に直結します。資格学校の講座は高額になりがちですが、専門実践教育訓練給付金の対象となっている講座を選べば、受講料の最大70%が戻る可能性があります。例えば、大手資格スクールのTACも、社会保険労務士講座などでこの制度の指定を受けていることがあります。高額な投資を必要とする難関資格に挑戦する際には、必ず制度の利用を検討すべきです。

語学（英語、TOEICなど）：グローバル時代の必須スキル

グローバル化が進む現代において、英語力は多くの職種で必須スキルとなりつつあります。英会話スクールやTOEIC対策講座など、一般教育訓練給付金の対象となる講座が多数存在します。ビジネス英会話、海外赴任準備、TOEICスコアアップなど、目的に応じて講座を選ぶことができます。

その他（ピラティス、Webデザイン、簿記など）：多様なスキル習得

ピラティス：健康志向の高まりとともに人気のインストラクター養成講座
Webデザイン・プログラミング：IT人材不足の中で需要急増の技術スキル
簿記：経理・財務の基本で、どの業界でも役立つ汎用性の高いスキル

近年、健康志向の高まりとともに人気が高まっているピラティスですが、そのインストラクター養成講座も、専門実践教育訓練給付金の対象となっている場合があります。自分の健康を高めつつ、人に教えるスキルを身につけたい人に最適です。

高度な学び：大学院も対象になる専門教育

専門実践教育訓練給付金の対象講座には、大学院の課程も含まれます。具体的には、MBA（経営学修士）などの専門職大学院や、特定の研究分野の修士課程などが指定されています。大学院での学びは、専門性を極めるだけでなく、人脈形成や論理的思考力の向上にもつながり、キャリアの可能性を大きく広げます。学費が非常に高額なため、この制度の利用は非常に有効です。

支給額はいくら？給付金の計算方法と注意点

一般教育訓練：受講費用の20%（上限10万円）
特定一般教育訓練：受講費用の40%（上限20万円、追加給付で最大60%）
専門実践教育訓練：受講費用の50%（就職で追加20%、合計70%）
支給額の上限と計算例を理解して賢く活用

給付金の額は、受講した教育訓練の種類と、支払った受講費用によって異なります。また、給付金を受け取るためには、受講修了後に申請手続きが必要です。

支給額の算出方法：一般・特定一般・専門実践の詳細計算

スクロールできます

制度種類	基本給付率	上限額	計算例（受講料50万円の場合）
一般教育訓練	20%	10万円	50万円×20%=10万円
特定一般教育訓練	40%	20万円	50万円×40%=20万円
専門実践教育訓練	50%～70%	年間56万円	50万円×50%=25万円（就職で35万円）

一般教育訓練給付金の計算例：受講料が30万円の場合、30万円 × 20% = 6万円が給付されます。受講料が60万円の場合、60万円 × 20% = 12万円となりますが、上限額が10万円なので、給付額は10万円です。

特定一般教育訓練給付金の計算例：受講料が40万円の場合、40万円 × 40% = 16万円が給付されます。さらに、修了後1年以内に目標の職に就くなど、一定の条件を満たせば、受講費用の20%（8万円）が追加で支給され、合計24万円の給付となります。

専門実践教育訓練の追加給付と再就職手当

専門実践教育訓練給付金には、特定の条件を満たすことで給付額が増える追加的な仕組みが設けられています。これらの制度を賢く組み合わせることで、受講費用だけでなく、訓練期間中の生活費までカバーできる可能性があります。

訓練期間中：教育訓練支援給付金（離職前賃金の80%相当）
訓練修了後：目標専門職への就職で受講費用の20%追加給付
早期就職：再就職手当の対象となる場合あり

専門実践教育訓練給付金では、受講料が年間80万円の場合、80万円 × 50% = 40万円が給付されます。また、修了後1年以内に目標の職に就職し、雇用保険の被保険者として雇用された場合、受講費用の20%が追加で支給されます。これにより、給付率は合計で70%となり、3年間の受講料が年間80万円だった場合、年間56万円（80万円×70%）の給付が可能になります。

最難関関門？申請方法・手続きをステップバイステップで解説

受講開始日の1ヶ月前までにハローワークで事前手続き
ジョブ・カード作成とキャリアコンサルタントとの面談
受講中は修了証明書と領収書の受け取りを忘れずに
修了後1ヶ月以内の申請手続きが最重要

「教育訓練給付制度は手続きが面倒くさそう…」そう感じる人も多いかもしれません。しかし、手順をしっかり理解すれば、決して難しいものではありません。最も重要なのは、「受講する前」にハローワークで手続きを行うことです。

1. 受講前：ハローワークでの相談・手続き

【重要】受講を開始する日の1ヶ月前までには必ず手続きを完了させること

ステップ1：最寄りのハローワークで教育訓練給付制度の相談
ステップ2：「ジョブ・カード」の作成（キャリアコンサルタントがサポート）
ステップ3：キャリアプランと受講講座の整合性確認
ステップ4：「教育訓練給付金支給要件照会票」等の書類作成
ステップ5：受講予定講座の指定講座確認とパンフレット準備
ステップ6：必要書類提出と「支給決定通知書」受取

ハローワークでは、あなたの職務経歴やスキル、今後のキャリアプランを整理するための「ジョブ・カード」を作成します。ハローワークのキャリアコンサルタントが作成をサポートしてくれるので、初めての方でも安心です。

2. 受講中：給付金申請に向けた準備

受講期間中は、講座の内容に集中するとともに、給付金申請に必要な書類の準備も忘れずに行いましょう。講座を修了した際に、実施機関から「教育訓練修了証明書」や「領収書」を受け取ります。これらは給付金の申請に必須の書類です。

受講証明書の受け取り：「教育訓練修了証明書」と「領収書」
出席率・試験合格：専門実践教育訓練では出席率や修了試験合格が条件
書類管理：給付金振込まで大切に保管

3. 受講後：必要書類を提出して申請

【重要】修了した日の翌日から1ヶ月以内に、ハローワークに申請すること

スクロールできます

必要書類	備考
教育訓練給付金支給申請書	ハローワークで入手
教育訓練修了証明書	実施機関から受領
領収書	実施機関から受領
本人確認書類	運転免許証等
雇用保険被保険者証	会社から交付
振込先口座の通帳等	口座情報確認用

上記の書類を揃え、ハローワークに提出します。不備がなければ、後日指定の口座に給付金が振り込まれます。申請から振込まで、通常1～2ヶ月程度かかります。

失敗しないためのチェックリストとよくある落とし穴

給付金支給対象者の条件確認は最重要
受講講座が指定講座かの事前確認必須
申請手続きのタイミングを絶対に逃さない
必要書類の不備や紛失に要注意

せっかくの制度も、手続きのミスや事前の確認不足で給付金が受け取れなくなることがあります。以下のチェックリストを参考に、失敗を未然に防ぎましょう。

受講前に必ず確認すべきこと

給付金の支給対象者か？雇用保険の加入期間は満たしているか
受講したい講座は対象か？厚生労働省の検索システムで指定講座確認
申請手続きのタイミングは正しいか？受講開始日の1ヶ月前までに手続き
会社に利用を知らせるべきか？在職中利用では事前承認が必要な場合あり

申請でつまずきやすいポイント

多くの利用者が陥りがちな失敗パターンを理解し、事前に対策することで、スムーズな給付金受給を実現できます。特に、書類関係のトラブルと期限の管理は要注意ポイントです。

必要書類の不備：一部でも欠けていると申請受付されない
受講証明書・領収書の紛失：実施機関から受取った書類は大切に保管
申請期限の超過：講座修了日翌日から1ヶ月以内を厳守
出席率不足：専門実践教育訓練では一定の出席率が必要

制度を最大限に活用する戦略とプロの視点

在職中の利用で安定収入を保ちながらスキルアップ
TAC等大手スクールの充実サポート体制を活用
教育訓練支援給付金との併用で生活費もカバー
戦略的なキャリア設計で投資効果を最大化

単に給付金を受け取るだけでなく、この制度を自身のキャリア形成の強力な武器として使い倒すための戦略をご紹介します。戦略的な活用により、投資対効果を大幅に向上させることが可能です。

「在職中」に賢く利用するタイミング

教育訓練給付制度は、離職後だけでなく、在職中にこそ積極的に利用すべきです。安定した収入を得ながら学びを進められるため、精神的にも経済的にも安心して取り組めます。

市場価値の向上：現職で通用するスキルを磨き昇進・給与アップを狙う
リスクヘッジ：転職を考えている場合、在職中の資格取得で転職活動を有利に
経済的安定：離職中の学び直しは生活費の問題が付きまとう
時間管理能力向上：仕事と学習の両立でタイムマネジメントスキル向上

例えば、在職中に「社会保険労務士」の資格を取得すれば、転職先の選択肢が大きく広がるでしょう。また、現在の職場でも人事労務分野での専門性を認められ、新たなキャリアパスが開ける可能性があります。

資格スクール「TAC」などの大手での利用メリット

TAC、LEC、大原など、大手資格スクールの多くは、教育訓練給付制度の指定講座を豊富に用意しています。大手スクール利用のメリットを最大限活用しましょう。

実績と信頼性：多数の合格者を輩出してきたノウハウと質の高いカリキュラム
サポート体制：申請手続きサポートやキャリア相談等の手厚いサポート
選択肢の豊富さ：簿記、税理士、中小企業診断士、公務員講座等の幅広い分野
制度活用ノウハウ：教育訓練給付制度利用者への経験豊富なアドバイス

教育訓練支援給付金と併用

これは、専門実践教育訓練給付金の利用を検討している離職者向けの重要な制度です。訓練期間中の生活費の心配を軽減し、学びだけに集中できる環境を整えられます。

スクロールできます

項目	内容
概要	専門実践教育訓練を離職して受講する場合の生活費支援
支給額	離職前の賃金の80%に相当する額
対象者	専門実践教育訓練給付金受給者で一定条件を満たす離職者
メリット	失業給付の代わりに支給、訓練期間中の生活費をカバー