【完全ガイド】求職者支援訓練と公共職業訓練の違いとは?給付金・対象者・コースを徹底比較し、あなたに最適な選び方を解説!

目次

再就職や転職、キャリアチェンジを目指す際、専門的なスキルや知識を無料で学べる「職業訓練」は非常に心強い制度です。しかし、いざ利用しようとすると、「求職者支援訓練」と「公共職業訓練」という2つの制度があり、「自分はどちらの対象なんだろう?」「何がどう違うの?」と混乱してしまう方も少なくありません。

この2つの制度は、対象となる人や受けられる経済的支援が大きく異なります。間違った方を選んでしまうと、本来受けられるはずだった給付金がもらえなかったり、希望するスキルが学べなかったりといった事態になりかねません。

求職者支援訓練と公共職業訓練の最も大きな違いは「対象者」です。雇用保険(失業手当)をもらえない人が主な対象なのが「求職者支援訓練」、雇用保険(失業手当)をもらえる人が主な対象なのが「公共職業訓練」です。

職業訓練制度の基本比較ポイント【結論まとめ】

  • 対象者の違い:求職者支援訓練は主に雇用保険を受給できない方(フリーランス、主婦、学卒未就職者など)。公共職業訓練は主に雇用保険を受給している方
  • 給付金の違い:求職者支援訓練は要件を満たせば月10万円の「職業訓練受講給付金」。公共職業訓練は「雇用保険(失業手当)」の給付が訓練終了まで延長
  • コース内容の傾向:求職者支援訓練は基礎的なITスキルや事務、介護など未経験者向け。公共職業訓練はより専門的で長期的なコース
  • 実施機関の違い:求職者支援訓練は国が認定した民間スクール等。公共職業訓練は国や都道府県が設置した施設
  • 最終目的:どちらも再就職を目的としているが、求職者支援訓練はより早期就職、公共職業訓練はより高度なスキル習得を目指す

職業訓練(ハロートレーニング)の全体像と目的

「求職者支援訓練」と「公共職業訓練」は、どちらも「ハロートレーニング(ハロトレ)」という愛称で呼ばれる公的な職業訓練制度の一部です。国が税金を投じてまで制度を用意している主な目的は、求職者のスキルアップ支援と労働市場のミスマッチ解消です。受講料は原則無料で、経済的な不安を抱える求職者でも安心してスキルアップに専念できる環境が提供されています。

制度選択で重要な5つの比較基準

制度の違いを正しく理解し、自分に合った訓練を選ぶためには、対象者・給付金・コース内容・訓練期間・費用の5つの基準で比較検討することが不可欠です。対象者の確認が最も重要な最初のステップとなり、これにより受けられる経済的支援の種類も決まります。自分が学びたいスキルがどちらの制度で提供されているかの確認も欠かせません。

求職者支援訓練の詳細解説【雇用保険非受給者向け】

  • 主な対象者:雇用保険を受給できない「特定求職者」(フリーランス、主婦、学卒未就職者など)
  • 経済的支援:月額10万円の職業訓練受講給付金(要件あり)
  • 訓練期間:2ヶ月~6ヶ月の短期集中型
  • コース特徴:基礎的なITスキル、事務、介護、WEBデザイン基礎など実務直結型
  • 実施機関:国が認定した民間教育訓練機関が中心

求職者支援訓練の対象者「特定求職者」とは

求職者支援訓練の対象者は「特定求職者」と呼ばれ、ハローワークに求職申込をしている、雇用保険被保険者や受給資格者ではない、労働の意思と能力がある、職業訓練などの支援が必要とハローワークが認めた方が対象です。具体的には離職して雇用保険の受給資格がない方、受給が終了した方、自営業やフリーランスを廃業した方、学校卒業後未就職の方、専業主婦(主夫)で新たに就職を目指す方、非正規雇用から正社員への転職を目指す方が該当します。

職業訓練受講給付金の支給要件と金額詳細

職業訓練受講給付金の支給には、本人収入月8万円以下、世帯収入月30万円以下、世帯金融資産300万円以下などの厳格な要件があります。支給額は職業訓練受講手当月額10万円、通所手当(交通費・上限あり)、寄宿手当月額10,700円(条件満たす場合)となります。全ての訓練実施日への出席(やむを得ない理由でも8割以上)と定期的なハローワークでの職業相談が必須です。

求職者支援訓練のメリット・デメリット

スクロールできます
メリットデメリット
給付金で生活を支えながら学習可能給付金の支給要件が厳格
無料でスキルアップできるコースの専門性に限りがある場合も
未経験者向けの基礎コースが豊富人気コースは選考がある
手厚い就職サポートあり訓練期間が比較的短期

公共職業訓練(離職者訓練)の詳細解説【雇用保険受給者向け】

  • 主な対象者:雇用保険(失業手当)を受給している、または受給資格のある方
  • 経済的支援:失業手当の給付延長+受講手当・通所手当
  • 訓練期間:3ヶ月~2年の長期専門型
  • コース特徴:機械、電気、建築、ITエンジニアリング、WEB制作など専門的
  • 実施機関:ポリテクセンター、職業能力開発センター等の公的施設

公共職業訓練の対象者と受講条件

公共職業訓練の主な対象者は、離職に伴い雇用保険(失業手当)を受給している、または受給資格のある方です。ハローワークの受講指示を受けて訓練に参加することで様々なメリットが得られます。雇用保険を受給できない方でも一定の条件を満たせば受講可能ですが、優先順位は雇用保険受給者が高くなります。国や都道府県が運営する専門施設での実施が多く、関連業界との結びつきも強い特徴があります。

雇用保険(失業手当)との関連制度

公共職業訓練の最大のメリットは、失業手当の残日数に関係なく訓練終了まで給付が延長される点です。例えば失業手当の残日数が30日しかない状態で6ヶ月の訓練を開始しても、訓練終了まで6ヶ月間受け取り続けることができます。さらに受講手当(日額500円・上限あり)と通所手当(交通費・上限あり)も支給され、訓練期間中は失業認定日の出頭や求職活動実績が不要になるため訓練に集中できます。

公共職業訓練のメリット・デメリット

スクロールできます
メリットデメリット
失業手当の給付延長対象者が雇用保険受給者に限定
専門性が高く多様なコース人気コースは倍率が高い
失業手当以外の各種手当も支給訓練期間が長期
高い就職実績時間的拘束が大きい

求職者支援訓練と公共職業訓練の完全比較【全10項目】

  • 対象者・経済的支援・実施機関の明確な違いを理解することが重要
  • 訓練期間・コース内容で自分の目的に合った制度を選択する
  • 申し込み窓口はどちらもハローワークで共通
  • 受講料は両制度とも原則無料、自己負担は同程度
  • 制度の根拠法が異なることで支援内容に違いが生まれる
スクロールできます
項目求職者支援訓練公共職業訓練(離職者訓練)
主な対象者雇用保険を受給できない方(特定求職者)雇用保険を受給している方
愛称・通称支援訓練離職者訓練
経済的支援職業訓練受講給付金(月10万円+交通費)雇用保険(失業手当)の給付延長+各種手当
支援の根拠求職者支援制度雇用保険法
訓練期間2ヶ月~6ヶ月(短期が中心)3ヶ月~2年(長期・専門的なものも多い)
コース内容基礎的な事務、IT、介護、WEBデザインなど専門的な機械、電気、建築、IT、デザインなど
実施機関国が認定した民間教育訓練機関が中心公的施設(ポリテクセンター等)+民間委託
受講料原則無料原則無料
自己負担テキスト代、資格受験料、作業服代などテキスト代、資格受験料、作業服代など
申し込み窓口住所地を管轄するハローワーク住所地を管轄するハローワーク

ケーススタディ別おすすめ診断【4つの典型パターン】

  • 雇用保険受給資格の有無が最も重要な判断基準
  • 転職希望分野の専門性レベルによって適切な制度が変わる
  • 経済的支援の要件と自分の状況を照らし合わせて判断
  • 訓練期間と自分のライフプランとの整合性を確認

ケース1:失業保険をもらいながら専門スキルを習得したいAさん

前職の製造業を会社都合で離職し、雇用保険の受給資格がある30歳男性Aさんの場合、公共職業訓練がおすすめです。ポリテクセンター等で実施される「プログラミング科」や「ネットワークエンジニア科」などの6ヶ月~1年の専門的なコースを受講可能で、訓練期間中は失業手当が延長されるため、経済的な心配をせずにスキル習得に集中できます。将来性の高いIT業界への転職に向けて、しっかりとした技術基盤を築くことができます。

ケース2:フリーランスから正社員を目指すBさん

5年間フリーのWEBデザイナーとして活動してきた28歳女性Bさんの場合、求職者支援訓練がおすすめです。雇用保険の受給資格がないため求職者支援訓練の対象となり、収入や資産の要件を満たせば月10万円の給付金を受けられます。「OA事務・WEB基礎科」のようなコースで、ビジネスマナーや最新のオフィスソフトスキルを学び直し、正社員就職に必要な基礎を固めることができます。

ケース3:子育て一段落後の事務職再就職を目指すCさん

15年のブランクがある専業主婦の42歳女性Cさんの場合、求職者支援訓練が最適です。雇用保険加入歴がないため求職者支援訓練の対象となり、「パソコン基礎科」や「簿記会計科」などで基本的なスキルを身につけることで事務職への再就職に自信を持って臨めます。世帯収入の要件が給付金のポイントになりますが、仮に給付金対象外でも無料で訓練を受けられるメリットは非常に大きいです。

ケース4:雇用保険受給終了後のDさん

自己都合退職で90日間の失業手当を受け取ったが期間内に再就職先が決まらなかった55歳男性Dさんの場合、求職者支援訓練が適しているです。失業手当の受給が終了した方は「特定求職者」に該当するため、給付金の要件を確認しつつ、これまでの経験を活かせる分野や未経験分野に挑戦するための訓練を受講できます。年齢に関係なく新たなスキル習得で再就職への道筋をつけることが可能です。

申し込み手続きと受講開始までの完全ガイド

  • どちらの訓練もハローワークが申し込みのスタート地点
  • 訓練実施機関の説明会参加で実際の雰囲気を確認することが重要
  • 選考では「再就職意欲」が最も重視される
  • 最終手続きを忘れると入校できないため注意が必要

STEP1〜3:ハローワークでの相談から申込まで

まず住所地を管轄するハローワークで「求職の申込み」を行い、「職業訓練を受けたい」と伝えて担当者とキャリア相談をします。この段階で雇用保険の受給資格有無から適切な制度のアドバイスをもらえます。次に受講したいコースを探し、訓練実施機関の説明会や見学会に参加して実際の雰囲気や授業内容を確認することを強くおすすめします。コースが決まったら募集期間内にハローワークで受講申込書などの必要書類を受け取り手続きを行います。

STEP4〜6:選考から訓練開始まで

指定日時に訓練実施機関で面接や筆記試験(簡単な国語・数学など)を受けます。選考で最も重視されるのは「訓練を受けて再就職する意欲」で、なぜこの訓練を受けたいのか、修了後どう就職活動に活かしたいかを自分の言葉で伝えられる準備が大切です。合格後は指定期日までにハローワークで最終手続き(支援指示を受けるなど)を行い、これを忘れると入校できないため注意が必要です。

職業訓練受講中の注意点と生活のポイント

訓練が始まると、出席要件は非常に厳しく原則として全日出席が求められます。やむを得ない理由があっても全体の8割以上出席しないと給付が打ち切られる可能性があります。アルバイトは求職者支援訓練では給付金の収入要件(月8万円以下)を超えない範囲、公共職業訓練では失業手当受給中の規定(週20時間未満など)に準じ、いずれもハローワークへの申告が必要です。訓練期間中も定期的な職業相談や就職活動が求められます。

よくある質問(FAQ)【重要8選】

両方の訓練を同時に受講することはできますか?

できません。どちらか一方の制度を選択して受講することになります。また、一度公共職業訓練を受講すると、原則としてその後1年間は他の公共職業訓練を受講できません。

途中で辞めた場合、ペナルティはありますか?

訓練を自己都合で途中退校した場合、給付金や手当の支給は即時停止されます。正当な理由なく退校すると、それまでに受け取った給付金の返還を求められる可能性や、失業手当の給付が制限される場合があります。

面接や筆記試験では、どのようなことが問われますか?

筆記試験は中学校卒業レベルの国語(漢字の読み書き、文章読解)と数学(基本的な計算)が一般的です。面接では「なぜこの訓練を受けたいのか」「訓練修了後どのような仕事に就きたいか」「最後まで訓練をやり遂げられるか」といった就職意欲や受講姿勢が最も重視されます。

人気コースの倍率はどのくらいですか?

コースや地域、時期によって大きく異なりますが、IT関連、WEBデザイン、医療事務、電気工事士などの人気コースでは、定員に対して2倍~5倍以上の応募があることも珍しくありません。事前の説明会参加や面接対策が合否を分けます。

給付金・手当をもらわずに、訓練だけ受講することも可能ですか?

可能です。給付金の収入・資産要件に合わない方でも、訓練の対象者要件を満たしていれば、受講料無料で訓練に参加できます。経済的支援がなくてもスキルアップしたいという意欲的な方は多くいます。

オンライン(eラーニング)で受講できるコースはありますか?

はい、近年増加傾向にあります。特に求職者支援訓練では、IT・WEB系のコースを中心に、通所とオンラインを組み合わせた形式や、完全オンラインのコースも設定されています。詳しくはハローワークや各都道府県の労働局のホームページで確認できます。

年齢制限はありますか?

原則として年齢制限はありません。10代から60代以上まで、幅広い年齢層の方が受講しています。ただし、コースによっては若年者向け(おおむね45歳未満など)に設定されているものもあります。

訓練修了後の就職率はどのくらいですか?

厚生労働省の発表によると、令和4年度実績では公共職業訓練(離職者訓練)の就職率は施設内訓練で約90%、委託訓練で約75%となっています。求職者支援訓練もコースによりますが、約70%~80%程度の就職率を目指して設定されています。

まとめ:後悔しない職業訓練選びの最終チェックリスト

「求職者支援訓練」と「公共職業訓練」という2つの公的職業訓練制度について、その違いを徹底的に解説してきました。最適な選択をするためには、雇用保険の状況把握が最も重要で、これにより受けられる経済的支援の種類も決まります。

  • 自分の雇用保険の状況を把握したか?(受給資格の有無が最大の分岐点)
  • 受けられる経済的支援(給付金・手当)の要件を正しく理解したか?
  • 自分が学びたいスキルは、どちらの訓練制度で提供されているか確認したか?
  • 希望する訓練期間と、自分のライフプランは合っているか?
  • 選考(面接・筆記)に向けて、自分の就職意欲を整理できているか?
  • 最終的な判断を下す前に、必ずハローワークの担当者に相談する準備はできているか?

職業訓練は、あなたのキャリアにとって大きな転機となりうる素晴らしい制度です。制度を正しく理解し、自分の目的と状況に合ったコースを主体的に選ぶことが何よりも重要です。

この記事があなたの迷いを解消し、新たな一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。まずは勇気を出して、最寄りのハローワークのドアを叩いてみてください。専門の相談員が、あなたのキャリアプランに親身に寄り添ってくれるはずです。あなたの明るい未来への第一歩が、ここから始まります

1 2
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

派遣会社社員として20年の経験を持ち、数多くの転職・キャリア支援を担当。派遣エージェントとして全国の拠点を回り、地域ごとの特色や企業のニーズを熟知。求職者一人ひとりに寄り添い、最適なキャリアの選択をサポートする転職スペシャリスト。

目次