社会保険労務士(社労士)はオワコン?→将来性しかない5つの理由と年収UP戦略

目次

この記事のポイント

  • 専門家としての地位:社労士は労働・社会保険、労務管理、年金相談などを扱う国家資格者
  • 独占業務の存在:「労働・社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出代行」などは社労士だけの独占業務
  • 高まる社会的需要:働き方改革、ダイバーシティ推進、ハラスメント対策により価値が向上
  • AIとの共存:AIには代替できない、個別具体的な相談業務や複雑なコンサルティング能力が鍵
  • 高水準の年収:専門性を高めることで年収1,000万円以上を目指すことも可能
  • 多様なキャリアパス:企業内での活躍や独立開業の道が開かれている
  • 価値ある難関資格:合格率は例年約6〜7%と低い難関資格でキャリアアップに繋がる

社会保険労務士(社労士)とは?基本知識から独占業務まで

  • 法律に基づいた国家資格:社会保険労務士法に基づく国家資格者として、労働社会保険諸法令の専門家
  • 企業と労働者の橋渡し役:企業の健全な発展支援と労働者の権利保護の両方を担う
  • 独占業務による安定性:手続き代行・帳簿書類作成・紛争解決手続代理などの独占業務を保有

結論:社労士は企業の「ヒト」に関する専門家として、法的な独占業務を持つ国家資格者です

人事のプロフェッショナル・社労士の全体像

社会保険労務士(通称:社労士)は、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。企業経営に欠かせない「ヒト・モノ・カネ」のうち、「ヒト」に関する専門家として、企業の人事労務管理をサポートします。

具体的には、労働基準法、労働安全衛生法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法といった、いわゆる「労働社会保険諸法令」の専門家として、企業と従業員に関わる様々な業務を行います。

社労士の役割は、大きく分けて2つあります。

企業の健全な発展を支援する役割:適切な労務管理や社会保険手続きを通じて、企業が法令を遵守し、従業員が安心して働ける環境を整備します。これにより、労働生産性の向上や人材の定着に貢献し、企業の持続的な成長を支えます。就業規則の作成や賃金制度の設計、人事評価制度の構築など、企業の根幹をなす制度作りに深く関与することもあります。

労働者の権利を守り、福祉を向上させる役割:労働者が不当な扱いを受けないよう、労働法に基づいたアドバイスを行ったり、年金や医療、介護といった社会保障制度に関する相談に応じたりします。労働者個人からの相談を受け、年金請求の手続きを代行すること(年金相談)も重要な業務の一つです。

このように、社労士は経営者と労働者の間に立ち、双方にとってより良い関係を築くための橋渡し役を担っています。法律知識はもちろんのこと、高い倫理観とコミュニケーション能力が求められる、社会的に非常に意義のある仕事です。全国社会保険労務士会連合会のデータによると、2024年4月末時点での登録者数は45,000人を超えており、多くの専門家が全国の企業や個人のために活躍しています。

社労士の独占業務|法律で守られた3つの専門領域

社労士の強みであり、安定性の源泉となっているのが「独占業務」の存在です。これは、社会保険労務士法によって、社労士の資格を持つ者でなければ報酬を得て行うことができないと定められている業務です。これにより、社労士は他のコンサルタントや専門家との明確な差別化が図られています。

独占業務は、社労士業務の分類である「1号業務」「2号業務」「3号業務」のうち、1号業務と2号業務が該当します。

手続き代行業務(1号業務)

  • 労働社会保険諸法令に基づき、行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書などの書類を作成すること
  • 作成した書類を、本人に代わって行政機関等へ提出すること(提出代行)
  • 申請等に関する行政機関等の調査や処分に対し、本人に代わって主張や陳述を行うこと(事務代理)

具体例:労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届、従業員の入退社に伴う資格取得・喪失手続き、労災保険の給付申請、各種助成金の申請など。

帳簿書類作成業務(2号業務)

労働社会保険諸法令に基づき、企業が備え付けておくことが義務付けられている帳簿書類を作成すること。

具体例:労働者名簿、賃金台帳、就業規則など。これらは労働基準監督署の調査などで必ず確認される重要な書類であり、法改正に沿った適切な作成・管理が求められます

紛争解決手続代理業務(特定社会保険労務士)

これは、社労士の中でも「紛争解決手続代理業務試験」に合格し、「特定社会保険労務士」として登録を受けた者のみが行える独占業務です。

個別労働関係紛争(解雇、賃金未払い、ハラスメントなど)について、裁判外紛争解決手続(ADR)機関における代理人として、和解交渉やあっせん手続きを行います。

裁判に比べて迅速かつ柔軟な解決が期待できるため、近年需要が高まっています。

これらの独占業務があるからこそ、社労士は企業にとって不可欠な存在であり続けることができます。特に、頻繁に行われる法改正に正確に対応し、複雑な手続きをミスなく行う専門性は、企業が自社内だけで担保することが難しく、社労士への依頼に繋がっています。

社労士の具体的な仕事内容|1号・2号・3号業務を徹底解説

社労士の業務は、前述の独占業務を含む「1号業務」「2号業務」と、コンサルティング業務である「3号業務」に大別されます。ここでは、それぞれの業務内容をより具体的に見ていきましょう。

1号業務:手続き代行・事務代理

これは社労士業務の基本であり、最もイメージされやすい仕事かもしれません。従業員のライフイベント(入社、退社、結婚、出産、病気・ケガなど)や、企業の年度行事に合わせて発生する様々な手続きを、企業に代わって行います。

労働保険に関する手続き

  • 年度更新:毎年1回、前年度の労働保険料を確定させ、新年度の概算保険料を申告・納付する手続き
  • 保険関係成立届:新たに事業を開始し、労働者を雇用した際に行う手続き

社会保険に関する手続き

  • 新規適用届:法人設立時や常時5人以上の従業員を使用する個人事業所が、健康保険・厚生年金保険に加入する際の手続き
  • 算定基礎届:毎年1回、7月1日時点の全被保険者の標準報酬月額を決定するための手続き
  • 月額変更届:昇給・降給などにより報酬額に大幅な変動があった場合に行う手続き

従業員の入退社に伴う手続き:雇用保険、健康保険、厚生年金保険の資格取得届・資格喪失届の作成・提出。

労災・傷病・出産などに関する給付申請

  • 業務中や通勤中のケガに対する労災保険給付申請
  • 業務外の病気やケガに対する傷病手当金の申請
  • 出産育児一時金や出産手当金の申請

助成金の申請代行:国が提供する各種助成金(雇用調整助成金、キャリアアップ助成金など)の申請を代行します。要件が複雑なため、専門家である社労士の力が求められます。

2号業務:帳簿書類の作成

法律で作成・備え付けが義務付けられている書類を作成する業務です。これらは企業の労務管理の根幹をなすものであり、適正な運用が不可欠です。

就業規則:職場のルールブックであり、常時10人以上の労働者を使用する事業場では作成と届出が義務付けられています。法改正への対応はもちろん、企業の実情に合わせた内容にすることが重要です。懲戒規定や休職規定、ハラスメント防止規定などを盛り込み、労使トラブルを未然に防ぎます

労働者名簿:労働者の氏名、生年月日、履歴、従事する業務の種類などを記載した名簿。

賃金台帳:労働日数、労働時間数、基本給、手当、控除額などを労働者ごとに記載した台帳。

3号業務:人事労務に関するコンサルティング

1号・2号業務が「守り」の業務だとすれば、3号業務は企業の成長を促進する「攻め」の業務と言えます。社労士の専門知識を活かし、企業の「ヒト」に関する経営課題を解決します。これからの時代、特に重要性が増していく分野です。

人事制度の構築・運用支援:企業の経営理念やビジョンに基づき、等級制度、評価制度、賃金制度などを設計します。従業員のモチベーションを高め、企業の業績向上に繋がる仕組み作りを支援します。

採用・人材育成に関するアドバイス:効果的な採用計画の立案、研修プログラムの企画・実施などをサポートします。

労務トラブルの相談・対応:解雇、残業代未払い、ハラスメントなどのトラブルが発生した際に、法的な観点から適切な対応をアドバイスし、問題解決を支援します。

働き方改革の推進支援:長時間労働の是正、年次有給休暇の取得促進、テレワーク導入支援など、法改正に対応しつつ、生産性を向上させるための具体的な施策を提案します。

安全衛生管理体制の構築:労働安全衛生法に基づき、企業の安全衛生管理体制の構築を支援し、労働災害の防止に努めます。メンタルヘルス対策もこの分野に含まれます。

社労士の年収・キャリアパス・やりがい

結論:社労士は高い専門性と社会貢献性を両立し、働き方次第で年収1,000万円以上も可能

  • 平均年収約780万円:日本の平均給与と比較して高い水準(勤務・開業で異なる)
  • 多様なキャリア選択:企業内スペシャリスト、独立開業、コンサルタントなど複数の道
  • 高い社会貢献性:企業発展と労働者福祉向上の両方に直接貢献できる

社労士の平均年収とキャリアパス

社労士の年収は、働き方(勤務か開業か)、経験、スキル、営業力などによって大きく異なります。

勤務社労士の年収

一般企業の人事・労務部や社労士事務所、コンサルティングファームなどに勤務する社労士です。厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、社労士の平均年収は約780.9万円(2024年時点)とされており、日本の平均給与と比較して高い水準にあります。

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勤務先経験レベル年収範囲
一般企業未経験・経験浅400万円〜600万円
一般企業中堅・管理職600万円〜900万円
一般企業人事部長・役員1,000万円以上
社労士事務所スタッフ350万円〜700万円
社労士事務所管理職・パートナー700万円〜1,500万円以上

大企業や外資系企業では、より高い年収が期待できます。資格手当が支給されることも多いです。事務所の規模や個人の実績によって大きく変動します。コンサルティング能力や営業力が高ければ、高収入を得ることが可能です。

開業社労士の年収

独立して自分の事務所を構える社労士です。年収は青天井であり、個人の努力次第で大きく変わります。

年収300万円未満〜1,000万円以上と非常に幅が広いです。開業当初は顧客獲得に苦労し、年収が低くなる傾向がありますが、軌道に乗れば年収1,000万円を超えることは十分に可能です。

顧問契約を数十社獲得し、安定した収益基盤を築くことが成功の鍵です。顧問料の相場は、従業員数にもよりますが、月額3万円〜10万円程度です。さらに、就業規則の作成(20万円〜)、助成金申請(成功報酬10〜20%)、人事制度コンサルティング(100万円〜)といったスポット業務を組み合わせることで、年収2,000万円、3,000万円を目指すことも夢ではありません。

キャリアパスの具体例

  • 企業内スペシャリストコース:一般企業の人事部でキャリアをスタートし、社労士資格を取得。労務管理のスペシャリストとして経験を積み、最終的に人事部長やCHRO(最高人事責任者)を目指す
  • 独立開業コース:社労士事務所で数年間実務経験を積んだ後、独立開業。地域密着型で中小企業を支援したり、特定の専門分野を極めて全国から顧客を獲得したりする
  • ダブルライセンスコース:中小企業診断士、行政書士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を併せて取得し、人事労務に留まらないワンストップサービスを提供。顧客単価と満足度を高める
  • コンサルタントコース:大手のコンサルティングファームに所属し、大企業向けの人事戦略コンサルティングや組織開発プロジェクトなどに従事する

社労士のやりがいと魅力

社労士は難関資格であり、日々知識のアップデートが求められる大変な仕事ですが、それ以上に大きなやりがいと魅力があります。

社会貢献性の高さ

社労士の仕事は、企業の発展と労働者の福祉向上という、社会の根幹を支える二つの側面に直接貢献できます。「先生のおかげで助成金が受給できて、経営の危機を乗り越えられました」「的確なアドバイスで、長年の労使トラブルが円満に解決しました」「障害年金の請求が通って、今後の生活に希望が持てました」といった感謝の言葉は、何物にも代えがたいやりがいとなります。自分の専門知識が、誰かの人生や会社の未来を良い方向に導くことができる。これは社労士という仕事の最大の魅力です。

専門家としての知的好奇心を満たせる

労働社会保険諸法令は、社会経済情勢の変化に合わせて頻繁に改正されます。また、働き方も多様化し、前例のないような労務相談が次々と舞い込んできます。常に最新の知識を学び、複雑な事案を法的に分析し、最適な解決策を導き出すプロセスは、知的好奇心旺盛な人にとっては非常に刺激的です。学び続けることで自身の専門性が高まり、市場価値が向上していく実感を得られます。

多様なキャリアパスと働き方の選択肢

社労士の活躍の場は、社労士事務所や一般企業の人事部だけではありません。コンサルティングファーム、労働組合、医療機関、行政機関など、そのフィールドは多岐にわたります。また、経験を積んで独立開業すれば、定年なく自分の裁量で働き続けることが可能です。自宅を事務所にしてワークライフバランスを重視する働き方や、特定の分野(医療労務、IPO支援、助成金専門など)に特化して高収入を目指す働き方など、自分の理想とするキャリアを追求できる自由度の高さも大きな魅力です。

経営者に最も近い相談相手になれる

特に開業社労士は、中小企業の経営者から人事労務に関するあらゆる相談を受けます。ときには、資金繰りや事業承継といった経営全般の悩みを打ち明けられることもあります。「ヒト」の問題は経営の根幹に直結するため、社労士は経営者の孤独に寄り添い、事業の成長を伴走する最も信頼されるパートナーとなり得ます。これは、他の士業にはない、社労士ならではの醍醐味と言えるでしょう。

社労士の将来性|2025年以降の需要が高まる理由

  • AIは脅威ではなく追い風:定型業務の効率化により、コンサルティングに集中可能
  • 複雑化する社会情勢:働き方改革、ダイバーシティ、ハラスメント対策で需要拡大
  • 人手不足社会の到来:人材定着と労務リスク管理が企業の最重要課題に

結論:社労士の将来性は極めて明るく、AIとの共存により付加価値の高い業務に集中できる

結論から申し上げると、社会保険労務士(社労士)の将来性は極めて明るいです。一部で「AIに仕事を奪われる」といった声も聞かれますが、それは社労士の業務の一側面に過ぎません。

確かに、労働保険の年度更新や社会保険の算定基礎届といった定型的な手続き業務は、今後RPA(Robotic Process Automation)やAIによって効率化・自動化が進むでしょう。しかし、社労士の真価はそこだけではありません。

現代の企業が直面している課題は、ますます複雑化・多様化しています。働き方改革関連法への対応、同一労働同一賃金の徹底、パワーハラスメント防止措置の義務化、多様な人材(高齢者、外国人、非正規雇用者)の活用、メンタルヘルス対策、DX(デジタルトランスフォーメーション)に伴う新たな労務問題。

これらの課題は、法律の知識をただ当てはめるだけでは解決できません。各企業の文化、業種、規模、そして従業員一人ひとりの状況を深く理解した上で、最適な解決策を提案するコンサルティング能力が求められます。これこそが、AIには決して真似のできない、人間である社労士ならではの価値です。

むしろ、AIに定型業務を任せられるようになることで、社労士はより付加価値の高いコンサルティング業務や、企業の経営戦略に踏み込んだ人事制度設計などに集中できるようになります。これは、社労士という職業が、単なる「手続き屋」から、企業の成長を支える真の「人事戦略パートナー」へと進化していくことを意味します。

需要が高まる5つの理由

社労士の将来性が非常に明るい根拠となる社会の変化と需要の高まりについて、5つの具体的な理由を挙げて解説します。

1. 働き方の多様化と複雑化

テレワーク、フレックスタイム、副業・兼業、フリーランスの活用など、従来の画一的な働き方は過去のものとなりました。企業は、これらの多様な働き方に合わせた勤怠管理、人事評価、情報セキュリティ対策などを構築する必要に迫られています。こうした新しい働き方には法整備が追いついていない部分も多く、判例や行政通達を読み解きながら、企業ごとの実情に合ったルールを設計できる社労士の専門知識が不可欠です。

2. 絶え間ない法改正への対応

働き方改革関連法をはじめ、労働・社会保険関連の法律は毎年のように改正が行われます。2024年の労働基準法施行規則改正(裁量労働制の見直しなど)や、今後の労働契約法制の見直し、社会保険の適用拡大など、企業が自力でキャッチアップし、正確に対応するのは困難です。法改正の専門家として、最新情報を提供し、企業の対応を支援する社労士の役割はますます重要になります。

3. 深刻化する人手不足と人材定着の重要性

少子高齢化により、日本の労働力人口は減少の一途をたどっています。多くの企業にとって、優秀な人材をいかに採用し、定着させるかが経営の最重要課題です。魅力的な労働条件(賃金、労働時間、休暇)の整備、公平な人事評価制度の構築、従業員エンゲージメントの向上施策など、働きがいのある職場環境を作るためのコンサルティングは、まさに社労士の得意分野です。

4. コンプライアンス意識の高まりと労務リスク管理

SNSの普及により、企業の労務問題(残業代未払い、ハラスメントなど)は瞬く間に拡散され、企業イメージを大きく損なうリスク(レピュテーションリスク)が高まっています。従業員の権利意識も向上しており、労使トラブルは増加傾向にあります。トラブルを未然に防ぐための就業規則の見直しや各種規程の整備、ハラスメント研修の実施など、プロアクティブな労務リスク管理における社労士の需要は尽きません

5. AI・DX時代における新たな人事課題への対応

AIの導入やDXの推進は、業務効率化だけでなく、新たな人事課題も生み出します。AIによる人事評価の是非、リモートワーカーのマネジメントやメンタルヘルスケア、デジタルツールを使った勤怠管理の課題など、テクノロジーと法律、そして「人の感情」が交差する領域での専門的なアドバイスが求められます。社労士は、こうした新しい時代の人事労務のあり方を企業と共にデザインしていく役割を担います。

AIに代替される業務は、申請書作成や給与計算データ入力などの「情報処理型」の定型業務です。一方で、AIには代替できない業務は、個別具体的な事情をヒアリングし、法律と実情を照らし合わせ、解決策を導き出す「課題解決型」のコンサルティング業務です。将来、社労士は後者の業務に注力することで、その価値をさらに高めていくことになるでしょう。

将来性が高い「選ばれる社労士」になるための戦略

需要が高い社労士業界ですが、その中でさらに「選ばれる社労士」として活躍し続けるためには、戦略的なキャリア構築が重要です。

1. 専門分野の確立

「労務のことなら何でも」というジェネラリストも必要ですが、特定の分野に特化することで、他者との差別化が図れます。例えば、「医療・介護業界専門」「IT業界専門」「IPO(株式上場)支援」「障害年金専門」「助成金専門」など、自分の興味や経験を活かせる分野を見つけ、その分野の第一人者を目指すことが高収入と安定に繋がります

2. コンサルティング能力の強化

手続き代行だけでなく、顧客の経営課題を深く理解し、解決策を提案できるコンサルティング能力を磨くことが必須です。経営学やマーケティング、コーチングなどの知識を学ぶことも有効です。顧客のビジネスに寄り添い、共に成長していくパートナーとしての視点が求められます。

3. デジタルリテラシーの向上

各種労務管理システムやクラウドツールを使いこなし、顧客に業務効率化を提案できる能力は、もはや必須スキルです。RPAやAIの知識を身につけ、テクノロジーを活用して自身の業務を効率化するとともに、顧客への付加価値提供に繋げることが重要です。

4. ダブルライセンスの取得

他の資格と組み合わせることで、業務の幅を広げ、顧客にワンストップサービスを提供できます。

  • 中小企業診断士:経営全般の視点から人事戦略を提案できる
  • 行政書士:会社設立から許認可申請、労務管理まで一貫してサポートできる
  • キャリアコンサルタント:企業のキャリア開発支援や個人のキャリア相談に対応できる
  • ファイナンシャルプランナー:従業員のライフプランニングや企業の退職金制度設計に強みを発揮できる

5. 発信力・営業力の強化

どんなに優れた知識やスキルを持っていても、それが顧客に伝わらなければ意味がありません。ブログやSNS、セミナーなどを通じて積極的に情報発信を行い、自身の専門性や人柄を知ってもらうことが重要です。特に開業社労士にとっては、自分自身を売り込む営業力が年収に直結します。

社労士試験の難易度と勉強法

  • 厳しい合格基準:合格率約6〜7%、800〜1,000時間の勉強が必要
  • 効率的な学習法:予備校活用、過去問重視、法改正対応が鍵
  • 多様な受験者:未経験からでも挑戦可能、女性も多く活躍

結論:合格率約6〜7%の難関試験だが、適切な戦略と継続的な努力で合格は可能

試験の難易度と効率的な勉強法

社労士になるためには、年に一度実施される社会保険労務士試験に合格し、2年以上の実務経験(または指定講習の修了)を経て、全国社会保険労務士会連合会に登録する必要があります。

試験の難易度

社労士試験は、法律系の国家資格の中でも屈指の難関試験として知られています。

合格率:例年6〜7%程度で推移しており、100人受けても6〜7人しか合格できない計算です。

膨大な試験範囲:労働基準法から始まり、労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法など、10科目に近い法律を網羅的に学習する必要があります。

厳しい合格基準:「選択式試験」と「択一式試験」の両方で合格基準点を満たす必要があり、さらに各科目にも「足切り」と呼ばれる最低得点基準が設けられています。1科目でも基準点に満たないと、総合点が満点でも不合格となる厳しい試験です。

合格に必要な勉強時間

一般的に、合格には800〜1,000時間の勉強時間が必要と言われています。1年間で合格を目指す場合、毎日2〜3時間の勉強を継続する必要があります。

効率的な勉強法

予備校・通信講座の活用:膨大な試験範囲を独学で攻略するのは非常に困難です。実績のある予備校や通信講座を活用するのが、合格への最短ルートと言えます。カリキュラムに沿って学習を進めることで、効率的に知識をインプットし、法改正などの最新情報も入手できます。

インプットとアウトプットの繰り返し:テキストを読む(インプット)だけでなく、過去問や問題集を繰り返し解く(アウトプット)ことが極めて重要です。アウトプットを通じて知識が定着し、自分の弱点を把握することができます。最低でも過去5〜10年分の過去問は完璧に理解するまで繰り返しましょう。

スキマ時間の有効活用:通勤時間や昼休みなどのスキマ時間を活用して、スマートフォンのアプリで一問一答を解いたり、音声講座を聞いたりすることで、勉強時間を積み重ねることができます。

法改正情報へのアンテナ:社労士試験では、試験年度の法改正点が狙われやすい傾向にあります。予備校の情報や官公庁のウェブサイトなどを活用し、常に最新の情報をキャッチアップしておくことが重要です。

まとめ:変化の時代に輝く、人事のプロフェッショナルを目指すあなたへ

この記事では、社会保険労務士(社労士)の仕事内容から年収、そして最も気になる将来性まで、網羅的に解説してきました。

社労士は、単なる手続き代行者ではありません。複雑化する社会において、企業の「ヒト」に関する課題を解決に導き、働く人々の権利を守る、社会に不可欠な専門家です。AIの進化は脅威ではなく、社労士がより本質的で付加価値の高い業務に集中するための追い風となります

働き方の多様化、法改正、人手不足といった時代の大きなうねりの中で、人事労務のプロフェッショナルである社労士の価値は、今後ますます高まっていくでしょう。

道のりは決して平坦ではありませんが、社会に貢献したい、専門性を身につけて長く活躍したいという強い意志があれば、社労士はあなたのキャリアを輝かせる最高の選択肢の一つとなるはずです。この記事が、あなたが人事のプロフェッショナルへの第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

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この記事を書いた人

派遣会社社員として20年の経験を持ち、数多くの転職・キャリア支援を担当。派遣エージェントとして全国の拠点を回り、地域ごとの特色や企業のニーズを熟知。求職者一人ひとりに寄り添い、最適なキャリアの選択をサポートする転職スペシャリスト。

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